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ウォッチコラム

22.04.11

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グランドセイコー『新世代スプリングドライブ』

グランドセイコーを代表する機構『スプリングドライブ』。動力ぜんまいで動く機械式腕時計と、電池で動くクオーツ式腕時計。そのふたつの機構のメリットを掛け合わせた独自の自動巻きムーブメントです。

そして2021年、現在のグランドセイコーの集大成とも言える新しい自動巻スプリングドライブムーブメント「キャリバー9RA2」が誕生しました。

 

 

 

スプリングドライブのメリットは大きくふたつ。

①てんぷがないため、強いショックを受けても精度に誤差が生じにくい。

②発電した電力で水晶振動子を振動させるため、1カ月に±15秒以内の誤差という驚異的な精度を実現。

 

新たなスプリングドライブを開発するにあたりこだわったのが

“週休2日でも止まらない『パワーリザーブ5日間』に対応するムーブメント”

通常時計業界でよく使われる技法は、「ツインバレル」「ダブルバレル」です。動力ぜんまいを収めた香箱(バレル)という部品をふたつ直列につなぐ事でロングリザーブが可能となります。(分かりやすく言うと、乾電池を2つ直列につなげると2倍長持ちする原理と同じ)

今までのスプリングドライブのパワーリザーブ3日間を2日延長するという事は、香箱のサイズも大きくなり、必然的に時計のケースサイズも大きくなります。しかしグランドセイコーはあえてサイズを変えずに実現することを選びました。

そして採用したのが「デュアルサイズバレル」です。

 

 

大小サイズの違う香箱にすることでケースサイズ維持することが可能になりました。サイズが違う香箱にもそれぞれ役割があり、大きな第2香箱に内蔵された動力ぜんまいがほどけると、小さな第1香箱の動力ぜんまいがそれをチャージする。複数の動力ぜんまいを動かすことで生じる動力のムラを抑えながら、120時間精度を保ち続ける事を可能にしたのは、グランドセイコーが誇る自社製のムーブメント。動力ぜんまいは、個体差がほとんどなく、120時間ずっと正確な精度を維持することが出来ます。

 

機能が追加されることで負担が増えるIC部分は、消費電力のロスを減らし、温度変化を受けにくくするために、水晶振動子とICの距離を縮め、それをひとつの真空パッケージにまとめた「真空パッケージIC」を採用。

不可能と思われた温度補正機能を可能にしました。

 

 

ソフト・ハード面を進化させる事でかつてない性能を手にした新しいスプリングドライブ。

2004年からグランドセイコーに搭載されてきた9R6系スプリングドライブの究極の進化形となるキャリバーです。

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