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ウォッチコラム

21.02.12

WATCH

文字板に込めた、それぞれの製造地への想い!

皆さんこんにちは!!

グランドセイコーを作る工房は2つあることをご存知でしょうか?

今回はグランドセイコーは、重なり合う”ふたつでひとつ”の時計メーカーだと言うこと!!

その”ふたつ”が作り上げる文字盤に込められた思いを紹介していきます!!

 

 

1881年に服部金太郎により「服部時計店」を創業。1892年には掛時計などを製造する「精工舎」を設立。その後、腕時計製造部門を分離独立させる形で、1937年に「第二精工舎(亀戸)」を設立した。しかし第二次世界大戦の戦局の悪化とともに、東京・亀戸にあった第二精工舎は疎開を余儀なくされる。亀戸工場は戦災によって壊滅状態になったため、戦後の復興期になっても腕時計を製造できる状況にはなかった。そこで腕時計事業を牽引したのが、疎開先のひとつであった「第二精工舎諏訪工場」だった。

グランドセイコーとは、この「第二精工舎(亀戸)」と「第二精工舎諏訪工場」という二工場による切磋琢磨の歴史ともいえるだろう。戦後、第二精工舎諏訪工場では“高精度”という明確な指標がある紳士用腕時計を中心に製造を行い、「マーベル」や「ロードマーベル」、そして「クラウン」などを手がけた。1959年には、時計部品製造などを行っていた大和工業と第二精工舎諏訪工場が合体して、「諏訪精工舎」が誕生。ここから「初代グランドセイコー」が生まれることになるのだった。

一方、戦後も生産環境が整わない第二精工舎の亀戸工場は、まずは婦人用腕時計の製造を強化し、デザイン面に磨きをかけていった。ただしグランドセイコーは、いわば“諏訪が開発した腕時計”であるため、第二精工舎亀戸工場の製造は認められなかった。

1958年には高性能の紳士用腕時計「クロノス」をつくっていたが、そのノウハウを活かしたモデルも「グランドセイコー」よりは廉価な「キングセイコー」として発売せざるを得なかったほどだ。1967年に第二精工舎初のグランドセイコー「44GS」が誕生するが、同年に諏訪精工舎製のGS初の自動巻モデル「62GS」が発売されたことで、短命に終わってしまう。「第二精工舎(亀戸)」と「諏訪精工舎」はどちらもグランドセイコーをつくっているが、その出自は異なる。しかしふたつの哲学が融合し、切磋琢磨がほかにない魅力を生む原動力となったのも事実である。

 

 

現在のグランドセイコーも、ふたつの拠点で製造されている。諏訪精工舎は現在では「セイコーエプソン」となり、長野県塩尻市にてクオーツモデルとスプリングドライブモデルを製造。一方、第二精工舎の流れをくむ「セイコーインスツル」は、岩手県雫石町にて機械式モデルを製造している。塩尻と雫石でつくられるグランドセイコーは、どちらも高い精度と品質を誇る自社製造ムーブメントを搭載し、視認性と実用性、高級感を追求した“セイコースタイル” を基準としている。そのため、両社から生まれる腕時計が大きく異なるということはない。

しかし設計思想や商品哲学、さらには技術に対する思考の違いなど、ふたつの会社が築き上げてきた腕時計文化はいまでも生きている。こういった個々の能力を、グランドセイコーという形で集約させることで、重層的な魅力が加わるのだ。

その一例が、腕時計の顔たる「文字板」。製造地への敬意を込めた特別仕上げを施しているのだ。スプリングドライブモデル「SBGA211」は、塩尻の工房から望む穂高連峰に積もった雪をイメージした通称「信州の雪白(ゆきしろ)ダイヤル」。海外ではスノーフレークとも呼ばれる。

 

 

一方機械式モデル「SBGJ201」は、雫石高級時計工房から見える名峰岩手山の力強い尾根を表現した「岩手山の尾根ダイヤル」。

 

 

どちらも生産地への思いが実際に表現されている。なぜグランドセイコーは、ここまで生産地にこだわるのか?そもそも時計産業というのは労働集約型産業であり、工場がある地域の人々を雇用し、親子何代も同じ工場に勤めることも珍しくなかった。つまり“郷土の誇り” として製品をつくってきたのだ。だからこそグランドセイコーもそれぞれの伝統に敬意を払い、製造地を大切にしているのだ。

グランドセイコーは機械式、クオーツ式、スプリングドライブ式という特性の異なるムーブメントを使って腕時計をつくる世界的にも稀有な腕時計ブランドだ。それは「第二精工舎」と「諏訪精工舎」というふたつの会社が切磋琢磨してきた結果であり、そのルーツを大切にする気持ちは、少しも失われていないのだ。

 

 

 

 

「信州の雪白ダイヤル」は2005年10月に発売されたスプリングドライブモデル「SBGA011」にて初採用。Cal.9R65は輪列と受の形状で穂高連峰の山並みを表現し、文字板でも信州の美しさを表現したいというデザイナーの一念から開発がスタート。厳しい寒さが生むザラザラした雪面を表した質感が特徴。

 

 

 

 

「岩手山の尾根ダイヤル」が初登場したのは、グランドセイコー初の機械式3日巻ムーブメントCal.9S67を搭載し、2006 年に発売された「SBGL001」。雫石高級時計工房から見える名峰岩手山の山肌に刻まれた無数の尾根を、文字板上で表現。冬の白色、秋の茶色、初夏の緑色などの種類が存在する。

 

実は、この製造のヒントは1971年に作られたモデルからであった。

 

 

 

「誰も足を踏み入れていない、ザラザラとした雪面を表現したい」というデザイナーの熱意に応えるべく、文字板担当者が見つけてきたのが、写真の1971年製の「56GS」。このモデルと同じような凹凸をつくるために文字板の型を製作。諏訪精工舎の技術と伝統が、何十年もの時を経て、見事に融合したのだった。

 

現在、長野県塩尻市の工房で作られているSBGA211と岩手県雫石町の工房で作られているSBGJ201は店頭に並んでおります!!

グランドセイコーの世界観であったり、それぞれの製造地への想いがいっぱい詰まった時計をぜひこのブログを読んで理解していただき、お客様が着けて頂くことで伝わるのだと思います!!

 

ぜひとも、店頭でお客様のご来店をお待ちしております(^O^)

 

 

 

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